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<危険回避>
水上オートバイはポンプで加圧した水をジェットノズルから噴き出すことで推進するとともに、ハンドルでノズルの向きを左右に動かし噴き出す水の向きを変えることで艇の方向をコントロールしています。多くの船にある舵板が無いのでハンドル操作だけで艇の向きは変わりません。ハンドル操作に加えスロットル操作により水を噴き出さないと曲がりません。
<転覆復元>
・水上オートバイは転覆することを前提に設計されていますが、転覆したら速やかに復元しないとエンジンルームに入り過ぎた水によりエンジンが冠水し始動不能となります。
・また復元する際の艇を回転方向を指示している艇があり船尾左舷側喫水線下にステッカーが貼ってあり転覆時に正常に見えるようにわざと上下逆さまに貼ってあります。
・指示方向とは反対に起こすとエンジン内部(シリンダ)に水が逆流する恐れがあります。
・その理由:FRP素材でできた船体に高温の排気管を船外まで通さないといけない水上オートバイは冷却水を排気管にも入れて冷やしています。つまりエンジン停止状態で水がたまった状態の排気管側を上になる方向で艇を回転させてしまうと排気管内部の水がエンジン側に落ちて行ってしまうからです。
補足:そもそも水上オートバイは燃えやすいFRP製の小さい船体に高出力エンジンやポンプ、大容量のガソリンタンク(約80L)などを詰め込んだ無理のある作りになっています。また近年は複雑な電子制御システムも追加されているので極力転覆は避けた方が良いでしょう。雑に扱うとすぐ壊れてしまう乗り物です。
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